散歩に行こう

おばあさんは私が一人なのを見ると、びっくりして飛んできた。「まあどうしたんだい、一人でなんぞ......」そういわれると、私はもう何も言わない先きから、わあと声をあげて泣き出した。ただ自分の兵児帯(へこおび)にぶらさげたその迷子札をしきりに引っ張っておばあさんに教えながら......
 そんな仲好しのおばあさんが居なくなって、茶の間で忙しそうにしている母にうるさくまつわりついては一人でぐずぐず言っているような時など、
「坊や、一しょに散歩に行こう。」と父が言ってくれた。
「あんまり遠くへはいらっしゃらないで。」母はいつも心配そうに言うのだった。
 私は父と出かけることも好きだった。


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